CrossTalk
01.教育担当者対談

緑陽会で行なわれている
「介護インストラクター研修」を修了し、
キャリアを重ねながら施設で教育や
指導を担当するなど
「教える」立場で
日々奮闘する職員による座談会を開催。
利用者様への想いや
仕事への向き合い方についてなど、
本音で語っていただきました。

Member
村井 巧(むらい・たくみ)
本部企画調整局キャリアサポート室 室長
菅原 力(すがわら・いさむ)
特別養護老人ホーム緑陽園 介護リーダー
今井 利一(いまい・としかず)
介護老人保健施設みどりの苑 介護サブリーダー
介護インストラクター研修を終えて
【村井】 まずは介護インストラクター研修(以下:研修)を終えてみての感想を聞きたいんだけれど、研修の前後で気持ちや動き方など変わったことはある?

【菅原】 僕は結構あります。研修でボディメカニクスを学んでから、ちょっと意識するだけでこんなにも違うんだと感じましたし、根拠や理由を伝えながら指導できることは大きな違いだなと感じましたね。

【村井】 根拠や理由を教えることができるとできないとでは結構違うよね。今井君は?

【今井】 利用者様の介護レベルが上がり「どうやって介助したらいいんだろう」と話題が出た時に、介助方法を提案できる・発信できる能力が身についたのかなと。 ただ、体格の違いから方法が合う・合わないがあるので、他のインストラクター職員と話し合い、その結果を周りの職員に広めていくことができていますね。

【村井】 僕も現場にいたころは二人と同じで、ボディメカニクスは言葉で知っているし、全部わかっているつもりだったんだよね。普段の介助でも実践していたけれど、研修を受講することによって、例えばなぜ重心を下げるのか、どうすればより重心を下げてそのままスムーズに移動ができるのかといった身体の使い方は「目から鱗」で、なるほどと思った。それがこの研修の難しいところでもあり、意識づけられたことでもあるなと思う。
研修で学んだこと
【今井】 現場にいる職員の多くは、介護のことを勉強してきていますけれど「知識ではわかっている」という人がすごく多くて。 僕自身は研修を受講したことで、もともとの知識に肉付けができたのかなと思いますね。どうやったら介助しやすいとか、こういう器具があるとか、研修で学んだことを他の職員の知識に肉付けできていると思いますし「こうやったらいいんだ」と相手も納得できるのかなと思います。

【村井】 そうだね。特に器具は自ら調べないと知る機会が少ないから、研修で知る機会を得られるのは自分の成長にとっては必要なものだったりするよね。

【菅原】 新しい知識を学んだことで、わからないことが出てくるとネットで調べたり、施設にある本を読んだりする機会が増えました。 教える立場の自分がわからないと恥ずかしかったりもするので、勉強して知識を蓄えないといけないなと。

【村井】 菅原君は異業種から介護を始めたよね?菅原君が新人だった頃に指導していた職員はある程度指導の経験があった職員だったと思うけれど、当時と比べて、今の状況と違うことはある?

【菅原】 新人の頃は「こうしたらいいよ」と言われましたけれど、その理由や根拠はあまり言われなかったんですよね。 なぜそうするといいのかがわからなくて、質問するとそこで初めて「あ、そうなんだ」ってわかったので、自分が教える時はちゃんと理由を説明するように意識しています。

【村井】 やっぱり教えられる側からみると「(この介助は)どうしてこうしなければいけないの?」って思ったりする?

【菅原】 思いますね。当時はあまり深く考えていなかったかもしれないですけれど、よくよく考えてみると、根拠を知っていることで、いろいろな場面で応用できたんじゃないかと感じることはありました。
仕事に対するやりがい
【村井】 僕のいまの仕事では、ほぼ毎月いろいろな研修を行っていて、参加していた人から「研修で学んだことを活かすことができている」といった話を聞けるのはやりがいになると感じるし、内容をもっとわかりやすくしたいと思う。 二人は現場にいるから、僕とはまた違ったやりがいがあると思うけど、どうだろうか?

【今井】 僕は認知度やADLが高く、ある程度自立されている利用者様が多い現場にいるので、余暇活動の時間にちょっとでも何かできないかなと利用者様に声をかけ、集まっていただいたところで絵を見せて盛り上げるといったことを実践してみたんです。 そうしたらある時、他の職員も僕がやっていたことを実践してくれていたんですよ。そういった姿を見てすごくやりがいを感じましたし、僕らが何かをすることで利用者様が笑顔になってくれたら嬉しいなと思います。

【菅原】 僕は利用者様の話を聞いて、問いかけ、そして応えてもらうといったやりとりを意識しているので、聞くということに重きをおいています。 だからこそ利用者様からの「ありがとう」という言葉が一番やりがいを感じますね。

高齢者福祉の魅力とは
【今井】 介護の現場だと、自分が行ったことに対するリターンがありますね。
「ありがとう」「いつもどうもね」みたいな。そういうやりとりが一番やりがいに繋がるのかなって。

【村井】 僕が介護の現場にいた頃、利用者様へ「楽しかったことはなんですか?」と聞くと「村井さんと話をしている日がたくさんあったこと」と言ってもらえたことがあった。
利用者様とのゆっくりとした関わりは、時間にしたら1日30分程度しかないかもしれないけれど「今日村井さんいるの?」と利用者様が僕のことを好意的に思ってくれていたらすごく嬉しいと感じることが多かった。 お店だとそのときだけの接客になるけれど、介護の現場では同じ利用者様との「ありがとう」「どういたしまして」みたいなやりとりが毎日続いていく。
こうした日々の積み重ねのなかで得られる日常的な感覚が、僕の思う福祉の魅力かな。

【菅原】 確かに、利用者様と接する時間が一番魅力ですね。ショートステイの現場にいた頃、以前利用された方がもう一度利用された時に「また来たよ」「待ってたよ~」とやりとりがあって。 そういうやりとりがほっこりするんですよね。利用者様の中に自分の存在が残っているということはすごく嬉しい。

【村井】 面接で出会った学生から「介護をしてありがとうといってもらいたい」と聞くこともあったし、新人職員も「ありがとうって言ってくれることが嬉しい」って話をしているんだよね。 自分の家族や友達以外から「ありがとう」と言われることが少ない中で、自分の行いに対してその言葉が返ってくることは、年齢や経験に関係なく大切なことだと思う。
福祉の現場が求む人物像
【菅原】 「根が優しい」「声掛けができる」方がいいなと思います。 人と接することが好きとか、そういうのがちょっとでもあれば嬉しいなと。たとえ、そうではない方でもしっかり教えてあげられる自信はあります。

【今井】 僕としてはやっぱり「やる気がある」方が嬉しいです。 教えている時に「あ、はい」みたいな冷たいリアクションだと、こちらも「しっかり聞いてるのかな?」と思ってしまう。 それなら「はい!」と返事だけでもやる気が見えるほうが「あっ、ちゃんと聞いているんだな」と思いますね。 間違えてしまってもいいし「じゃあ今度はメモを取ろう」と教えていくことができると思うので、やる気や元気があるほうがいいかなと思います。

【村井】 「根が優しい」も「やる気がある」も重要だよね。 例えば、沈黙が続いてしまったり、利用者様と上手くコミュニケ―ションが取れなかったとしても仕方がないこともあるんだけれど、それでも自分から声を掛けたり、質問することが、利用者様のことや仕事を覚えるきっかけになったりもする。 利用者様の生活の手伝いをしたいという気持ちがあると嬉しいね。ところで、この仕事に男性と女性で向き・不向きがあるとしたらどんなことがあると思う?

【今井】 利用者様の介護度が高いと、女性は介助の際に体力的な面で大変な部分があるかもしれないです。 そういった面では男性が向いていることもありますけれど、女性ならではの気遣いは男性では真似できないところもあるので、男性・女性どちらにも来てほしいです。

【村井】 力を使うことや基礎体力が必要なこともあるけれど技術はいくらでも身につくから大丈夫。 いま、緑陽園では中途で入職した職員をインストラクター職員が指導していたり、みどりの苑では介護実習で訪れた外国人留学生の指導をインストラクター職員が担当していたりと教育のシステムが整備されてきて、指導を担当する職員がしっかり教えられるようになっているし「継続して教えることができる環境」になっていると思う。 勉強する姿勢や、新しいことを学びたいという意欲があればそのサポートができるし、それがそのまま仕事の魅力や個人の成長に繋がっていくといいね。
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